炒っ太郎
株式会社富士珈琲(FUJI ROYAL)が販売するドラム式の本格小型焙煎機。個人の自家焙煎用として、またプロのサンプルロースター用としても人気が高い。
大型ドラム式焙煎機に比べドラム内の豆の様子や排気の流れ、香りの変化が分かり易い為、本気で焙煎を始める人の入門・練習用としても最適であるが、排気の調整はできず、温度計・ガス圧計などは付いていない為再現性に乏しい。その為使い手によってその点を改良・改造した固体も数多く見られる。一応温度計とガス圧計は純正オプション品の設定があるが、少々値が張る。
パンチング加工されている直火式とされていない熱風式の二種類があり、何れも都市ガス、プロパンガスを熱源とする。ドラム部分は電動式で、適当に焙煎するだけならドラムの余熱後に豆をいれ、ガスコックを全開にした後は時間まで見守っておけばいいという手軽さもある。冷却器1セット・テストスプーン・生豆用漏斗つき。
イブリック
別名ジャズベ。ターキッシュコーヒーとも呼ばれるトルコ式コーヒーを淹れる為の器材のこと。銅や真鍮製の鍋に長い柄がついた柄杓の様な形をしている。鍋は寸胴ではなく底よりも口の方が窄まった所謂円錐状に近い形もしくは丸みを帯びた形などをしており、この形がターキッシュコーヒー特有の「泡」を生み出す秘密になっている。寸銅鍋だとこうはいかない。
最も古いコーヒー抽出器具と呼ばれ、世界中にコーヒー文化を広めた伝統ある器具である。現在もトルコ本国は元より中東や北アフリカなどを中心に広く愛用されているが、日本ではいまひとつ知名度がなく、普及しているとは言いがたい。ターキッシュコーヒーはこの鍋に細かくすり潰した極深入りのコーヒー豆と水、砂糖などを入れて直火にかけて作る。
また、2009年以降SCAE(2012年以降はWEC)によって毎年イブリックの抽出技術を競う世界大会が開かれている。それに伴う各国国内競技大会も開かれているが、2015年現在日本国内大会は存在しない。
イマチュアビーンズ
未熟豆のこと。未成熟豆。コーヒーの欠点豆の一つ。まだ熟していない状態で収穫された豆で、苔むしたような緑色をしている。手積みでの収穫よりコーヒーノキを揺するって実を叩き落す機械積みの方が混入しやすい。
ちなみに空豆やえんどう豆などを指すこともある。これらの豆は基本的に完熟する前の緑色の状態で収穫する為である。
煎り止め
コーヒーの焙煎を終えるタイミングのこと。焙煎豆の味や香りを確定する重要なポイントである。
豆の色や香り、皺の具合や釜の温度、及び経験と直勘などを元に煎り止めのタイミングを判断する。数秒の違いや一℃の差で味が変化するといわれ、スプーンなどで忙しなく豆の状態を確認する焙煎人の姿はまさに焙煎のクライマックスと言ったところ。煎り止めを決定したら直ぐに冷却に移行し、余熱による焙煎の進行を止め、コーヒー豆の焙煎は終了する。当然求める味によって煎り止めは変化することになる。
煎りムラ
煎りムラと呼ばれる現象は大きく二つある。
1.豆の大きさの違いや欠点豆の混入、焙煎技術や火力などの環境が原因で全てのコーヒー豆に均等に熱が入らなかった状態のこと。つまり焙煎を終えた豆の中に火が入りすぎた豆や逆に日の通りが甘い豆が混ざっている状態のこと。
2.コーヒー豆一粒一粒を見た時、表面と内部で火の通り(焙煎具合)が違っている状態のこと。未熟な焙煎師の場合しばしば起こる。
何れも熱風焙煎より直火焙煎に起こりやすく、煎りムラを嫌って熱風焙煎を取る焙煎師もいる。
前者は焙煎前にハンドピックをする、焙煎機内に極端な温度差を作らない、焙煎中は豆を良く攪拌する、などの方法で対処できる為、店で見ることは少ないが、個人が趣味で行う手編み焙煎やミルク缶焙煎などの場合、環境を一定に整えるのが難しく、しばしば悩まされる。
後者は豆の蒸らしを適切に行う、豆内部の水分を抜く、煎り止め時に火力を調整する、加熱水蒸気を使う、低温焙煎をする、などの方法を用いて対処される。この煎りムラを完全に無くすか、あえてほんの少しのムラを残すかは焙煎人のよって意見の分かれるところである。全て均一に火が通った豆はその味も均一でクリーンな印象になる。逆にほんの少しのムラを残した場合は味の種類が多くなる為、やや複雑な印象の豆となる。